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ちょっと休んだほうが良い数学者の映画『π』

映画

技術系ブログとしては普段と毛色が違うのですが、プログラマの映画 Advent Calendar 2015 (18日目) に肖りまして、プログラマおよび狂信的な理系の方々全般にお勧めな映画『π』を紹介します。

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π (映画) - Wikipedia より

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数学者であるところの主人公マックスはコンピュータに囲まれた部屋の中でただただ円周率の演算研究に明け暮れた日々を過ごす。この金属にまみれた風景とそこに息づく一人の狂人が本映画の主軸である。

異常者の烙印を押されがちな多くの数学者達の例に漏れず彼もまた理性の一部をどこかに堕とした者の一人であり、その猜疑心が部屋のドアに何重もの鍵をかけ、外出の際には必ずドアスコープから外を覗き不穏を排除する。

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幼少期の回想もまた彼の無垢な狂気を物語る。

生来の病弱か、研究に全てを費やした代償か、青年マックスの身体には常に不調が蝕み、頼りの薬は量を増し、彼の周りには幻聴と幻覚が断続的に渦巻く。

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安易とも思われるかもしれないが彼は株式市場にも興味を持ち出す。
日々めまぐるしく流れる膨大な情報は宝のような数値標本であっただろう。

彼は全ての事象の因果が数字により説明できると信じていたし、実際、市場に法則を見出した。
そしてほぼ時を同じくしてこの映画タイトルであるところの円周率πの桁数の終着点にまでたどり着く。

…というのはこの世界における真実の発見だったのかもしれないし、はたまた彼の妄想に過ぎなかったのかもしれないが、異なる世界線に生きる傍観者に過ぎない我々が彼を否定することはできない。


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彼を窘める資格を持つ者があるとすれば、例えば身近なところには彼の恩師がいた。彼はこう告げるのである、「少し休め」と。


筋書きと呼べる何かがあるわけでは無い、曖昧に漂う空気感を味わう映画。
腰を据えて見るのではなく部屋のTVに垂れ流しておくくらいがちょうど良い。
ただ、BGMとして心地よいかというと時折不協和音が流れるのでご容赦を。

雰囲気映画ではあるのだが、決してシュールだとか奇を衒ってるだとかそういう逃げに走っているわけではなく、確実にそこに人の息遣いがあり、この作品は活きている。薦める相手を選んでしまう気難しさがあるにはあるのだが、数少ない所持DVDの領域に座を据えている程度には評価している次第。

π(Blu-ray Disc)

π(Blu-ray Disc)

実は僕自身も一時期株価の予測をニューラルネットワークで実現する夢に朝から晩まで身を削っていた時期もあり、それも相まりこの主人公マックスに強い共感を覚えたものです。

狂信的なプログラマおよび理系をこじらせた皆様に送るお勧めの映画『π』の紹介でした。
幻覚を見る前に休みましょう。

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