概要
- 個人の知識体系をソフトウェアシステムとして見つめ直すことにより、新しい発想が生まれる
- 基礎学習を適当なタイミングで実施し直すと最強になれるので、ときどきやろう
そんなお話。乱文。
まず大前提として
日々何かを学習していることは当たり前のこととして。
学習者の一般的な行動
まず一度基礎を身に付けます。これには多少の時間を必要とします。
その後、応用分野に向けて学習を深めます。
また、時代に応じて変動・追加される情報を差分差分で学習していきます。
差分学習のリスクに焦点を当てる
基本的に基礎を身に付けた熟練者が行う差分学習は楽です。
圧倒的な知識量が差分知識の理解を早めます。
一度このフェーズに入ってしまえば日々の学習はとても容易になり、初学者との差はグングン開きます。
初学に比べると圧倒的に有利です。気持ちも良いでしょう。
でも、そこには少しずつ少しずつ隙間が生じています。
自分自身の知識体系をひとつのソフトウェアシステムとして考える
ソフトウェアシステムはデータとロジックの集合であり、
個人の知識体系もまた、それに似た構造を持っています。
同じ問題が起こり、同じ対策を実施できる
つまりはどういうことかというと、ソフトウェアシステムに起こり得る問題が自分自身にも起こり得る可能性があります。
さらに一歩進み前向きな話をすると、ソフトウェアシステムに対して実施できる対策が自分自身にも適用できる可能性があります。
銀行システムに見るメンテナンスコスト増加
記事では、20万人月ともされるみずほ銀行のシステム統合に人が集まらず「新人でもいいから」との募集が飛び交っているという情報や、札幌市が入札を呼び掛けても地元企業が単価の高い首都圏の案件に行ってしまい応札しない話を例に、SEの争奪戦が始まっていることを伝えている。
これは極端な例ですが、一般的に、一度構築されたシステムにパッチを当て続けていくような運用をした場合、そのメンテナンスコストは時を経る毎に増加していきます。
差分学習はいわゆるパッチである
既に形成されている地盤にパッチを適用していく作業フローでは、そこに一部パッチの適用漏れがあった場合に後から漏れを探すことが困難になります。全てのパッチを捕捉している豪者がいないとは言いませんが、大抵の場合すべては捕えきれず漏れがあります。
その漏れの部分が根幹のパラダイムであったりすると、そこでけっこうな損をする。
しかしヒストリーを追って漏れを探して埋めるにはコストがかかりすぎます。
リファクタリングをしたい
自分の持っている知識を一旦全てリスト化して整頓することができれば理想です。
が、それは無理でしょう。知識量が多ければ多いほど難しくなります。
非能動的リファクタリング
能動的に「リファクタリングをする」のではなく「リファクタリングを誘発する行動を」取ることを考えます。僕がオススメするメソッドは、初学者向けの本を買い直して基礎を学習し直すことです。
新しい初学者向けの本を読むだけ
基礎は時代によって変わるため、より新しい時代の基礎を学習することが重要です。
昔買った本を読み直すよりも、現代の基礎が書かれている新しい本を読むのが良い。
何が起こるか
自分の持っていた知識それぞれが新しい基礎のしかるべき場所にインデックス化され直されます。脳が勝手に順応する。ただ本を一冊読むだけで、リファクタリングが完了するのです。
疲れない
能動的な情報整理は時間がかかるし疲れるものですが、これは受動的な整理(いつの間にか整理されている)なので、けっこう楽です。
再学習した初学者は強い
過去の基礎と新しい基礎とのマージ
過去に学習した基礎との時間が開いていればいるほど、基礎の内容に差分が出ますが、それでも大抵は似た部分が多いので、大半の情報が退屈なものになるかと思います。そこで生じる余裕が大事です。
知識体系をソフトウェアシステムとして見つめ直す
…という記事タイトルにしておきながら、今回提示したメソッドは人間の順応性に依存したものでした。重要なのは思考のきっかけです。改善の発端として「自分自身をソフトウェアシステムとして考える」ことにより見つかるメソッドがあるわけです。
発想の切り替えカードのひとつとして頭の隅に置いておきましょう。
おまけ:最近読んでる本
僕が初めて HTML を学習したのは、90年代後半、まだ CSS が浸透していない時代でした。
最近は改めて HTML と CSS を基礎から学習し直してますが、おそらく昔では書かれていなかった or 見落としていた知識が補完されて面白いです。

HTML&CSS標準デザイン講座 【HTML5&CSS3対応】
- 作者: 草野あけみ
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2013/03/12
- メディア: 大型本
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特に要素の回り込みとか、これまでは割と対症療法で対処してきましたが、改めて基礎を見直すと「あ、こんな簡単な原理だったのか」という気づきがけっこうありますね。自分が行っていたダメな慣習が改められます。